ガベルサポーターってどんな所?
ガベルサポーターズクラブでは刑務所を訪問し、
受刑者の就労支援の一環としてコミュニケーションの講座を開いています。
刑務所の訪問や犯罪加害者の支援はなじみがない活動だという方も多いでしょう。
今日は、クラブの会員の一人である里見勉さんから活動についてお聞かせいただいたインタビューをご紹介します。
・メンバーは普段どんなお仕事をしているんですか?
1、 法曹、医療関係、会社員、経営者など様々な業種・職種の方がいらっしゃいます。
活動参加のきっかけも、もともとトーストマスターズクラブに参加していた方や倫理法人会の関係者、社会貢献に関心がある一般市民など多岐にわたっています。
年齢や職種に関係なく、正式にクラブの会員登録をして年会費を納めていただける方ならどなたでもご参加いただけます。
・刑務所訪問に恐怖や抵抗を感じたことはありませんでしたか?
2、 一切ございません。私が恐怖や抵抗感を感じずに活動に参加できている理由を考えてみましたが、その一つとして実際にかかわる受刑者側から見ても私が「社会的弱者」に映るだからだと考えています。
実をいうと私には脊髄小脳変性症という持病があります。通常の健常な方とは違うという意味で「社会的弱者」と言いましたが、この点が有利に働いていると思っております。
というのも人間の心理として(一概には言えませんが)、明らかに自分よりも劣った弱い存在に対しては一定の理性がはたらき、ひどい態度は取れないだろうと考えるからです。
また、川越少年刑務所の受刑者比較的が若いことも安心して参加できる大きな理由です。若い世代ですから出所をしたのちも、長い人生や未来が待っています。その未来ある青年たちが、例えば外部から訪問した人間に危害を加えるなど、自らにとって不利益な行動は取らないと信じております。
・活動を始めたきっかけはなんでしたか?
私がこの活動に参加をしたきっかけは、病人であっても社会貢献ができる場所が欲しかったからです。また、健常者と比べてできることも少なく弱い立場の私だからこそ受刑者たちに寄り添える部分があると思いました。
受刑者たちが刑務所に来るまでを想像してみてほしいのですが、法律を犯してしまうまでに追い詰められ、道を外れてしまった彼らは自己肯定感が低いだろうと思います。だから、私のような病人でも頑張って活動している姿を目の当たりにすることで、彼らがおかれた厳しい環境の中で最大限の希望を見出してほしいと思ったのです。
・被害者の支援と同じように加害者支援が大切だと思う理由は?
詳しくは存じませんが、被害者支援の場は加害者支援の場よりも圧倒的に多いのではないかと思います。だからこそ、加害者支援の意義や価値があると考えます。犯罪は許されないことですが、加害者にも社会復帰した後の人生がありますから、彼らがやり直すための手助けは重要です。
しかし、再犯を繰り返す人も一定数おり、そういった話を聞くと人間はなかなか変われないのだなあと残念な気持ちです。
・活動資金はどのように集めていますか?
主に会員が納める年会費を活動資金に充てています。また、活動に共感してくれた方からの寄付などもいただいております。
・活動内容やプログラムはどのように決めていますか?
トーストマスターズクラブのノウハウに基づくコミュニケーション術を教えています。
受刑者の社会復帰後の就労支援の一環として行っています。
日程調整などのやりとりは、先方の担当刑務官・担当弁護士と私たちの間でFAXで行っています。毎回受講者の顔ぶれが違いますので、より受講者にあったプログラムをメンバー間で毎月の定例会で話し合っています、
・他のNPO団体との協力などはしていますか?
ガベルサポーターズクラブとしては協力・提携などは行っていません。
・ガベルサポーターに興味はあっても実際に刑務所訪問をするのは抵抗があると言う人へ。犯罪加害者の更生支援のために、他にはどんな関わり方ができますか?
一番大事なのは、まず関心を持つことだと思います。実際に訪問という形で参加できるメンバーはどうしても限られてきてしまいますので、活動の輪を広げるためにも少でも多くの方が関心を持ってくださることが支えになります。
・この活動をしていて1番やりがいを感じた瞬間を教えてください。
なんといっても受講者の笑顔が見られる瞬間でしょうか。受講者に、笑顔は相手に安心感を与える効果があると伝えていますが、やはり受講者から笑顔をもらうとこちらの喜びや「活動をやってきてよかった」という充実感にもつながる気がしております、
・加害者支援の現状について思うことを教えてください。
受刑者とのかかわりが一期一会になってしまうことをもったいなく思っています。
個人の人生は背負えるわけでもないし、背負う必要もないと思っておりますが、もう少し継続的な支援をすることで、人生を通してかかわりを持てたらと感じることがあります。その場合はガベルサポーターズだけでは難しいので他団体との連携も必要になってくるでしょう。しかし、一期一会のかかわりであったとしても彼らの人生に参加できることに誇りを持って活動しています。
里見さんはご自身も持病を抱える困難な状況でありながら、より苦しい立場の人を支援したいという思いでひたむきに取り組んでいらっしゃるのが非常に印象的でした。
加害者支援というと抵抗を持たれがちな活動ですが、加害者の社会復帰を正しく支援することは再犯防止につながり、未来に起こりうる犯罪を防ぐことにつながるのではないでしょうか。
インタビューで里見さんもおっしゃっていたように、加害者支援を一時のものだけで終わらせないためにはより多くの担い手が必要です。
自分には縁のない世界だと思うのではなく、まずは知ることから始めてみませんか。
あなたも参加してみませんか?
上記活動に限らず「こんなことをしてみたい!」というアイデアも大歓迎です。
お気軽にお問合せください。